2011年12月10日土曜日

【AXIESレポート】九州大学セミナー「九州大学におけるICT利用学習環境」at 大学ICT推進協議会 2011年度年次大会

2011年12月7日(水)〜9日(金)に、福岡市の福岡国際会議場で開催された、AXIES 大学ICT推進協議会の「2011年度 年次大会」に参加し、様々なセミナーや展示が行われましたので、数回に分けてレポートを行います。

今回は、企画セッションの企業セミナーをされた「九州大学」と「インフォテリア株式会社」のセミナーレポートです。
セミナーのタイトルは「九州大学におけるICT利用学習環境」と「第3世代登場!スマートデバイス向け教材作成サービス「Handbook」活用事例とご紹介」の2部構成。

どちらも非常に濃い内容で、メモの量も多かったので、今回の記事では「九州大学」のセミナー内容についてレポートし、「インフォテリア株式会社」のセミナー内容は、次の記事でレポートします。

まず、九州大学でのICTを活用した教育学習環境としては、2002年頃に学内の実験的なプロジェクトとして始まり、LMS(Learning Management System)としてBlackboard(当時はWebCT)を採用されています。
LMSとして圧倒的なシェアを誇るBlackboard
画像出典:delta initiative
60%:九州大学の学部学生の利用率次に、2011年度のLMSの利用状況として、60%/90%/100%/11%という数字を挙げられ、それぞれ以下の通りです。

90%:1年生が利用した割合
※LMSは学内教育のインフラなので、1年次に使えるようになってほしいということで、1年生のほとんど全員が履修する情報処理演習の授業で、教育資料をLMS上に置くようにした

100%:医療系学部の学生は全学年を通してほぼ100%

11%:教職員がLMSを使用した割合
※目標としては教職員含めて利用率を100%をすること。資料等をLMS上に置くようにしている。
マサチューセッツ工科大学
次に、教育情報公開としてオープンコースウェア(OCW)が取り上げられ、2001年頃にOCWが始まったMIT(マサチューセッツ工科大学)では、当時e-Learning分野で他大学より立ち遅れていた経緯があり、MITが無償で教材などを公開することに踏み切り、また他大学にもそのムーブメントを広めようと働きかけたそうです。

日本では2005年に主要6大学がOCW開始、現在20大学がOCWに参加しているそうです。
特に講義資料など動画に特化したものは、YouTubeなどで配信されています。

次に、九州大学でもアクティブラーニングの取り組みが始まっており、教室内で教員が学生に一方的に教えるだけでなく、学生が主体的になって学習できるよう「iPod touch」が導入されているようです。
Handbook
その中で「Handbook」が導入された経緯として、5年程前にある学生から寄せられた以下のような意見があったそうです。
e-Learningでは「いつでもどこでも好きな時に学習できること」ということで、紙の資料配付をやめてLMS上に様々な資料が置かれるようになり、自宅や大学のPCからLMSにアクセスできるようになりました。ところが、遠方から長時間かけて通学している学生にとっては、紙の方が利便性が良く、LMSによって逆に利便性を損ねてしまった。というもの。
これが一つのキッカケとなり、iOSやAndroidをはじめ、主要なスマートデバイスに対応していて、かつあらかじめオンライン環境で資料をダウンロードしておけば「オフライン環境で利用することができる」Handbookが導入されました。

特に九州大学では学内に無線LANが張り巡らされているので、3G回線を使わなくても利用でき、予め学内でLMSからスマートデバイスに資料をダウンロードしておき、通学中に閲覧できるようになるそうです。

最後に、実際に利用されているHandbookのデモが行われました。
後半の「インフォテリア株式会社」による内容は、次の記事でレポートします。

※平成23年12月9日現在の情報です。