「
地域活性化・産学官金連携・イノベーション創出セミナー」という、在福岡アメリカ領事館・九州経済産業局・九州知的財産戦略協議会・九州国際化推進機構・[財]長崎県産業振興財団が主催のセミナーに参加してきました。
【タイトル】~知的戦略と価値創造~「
グローバル競争の世界における企業内起業精神の役割」
【講演者】スタンフォード大学 アジア・米国技術経営研究センター長 リチャード・B・ダッシャー教授(Dr.Richard・B・Dasher)
途中仕事で抜けた時間もあり、グラフや図表などは撮影もできていませんが、メモできた範囲でおおまかな内容を要点のみレポートします。
※数値など正確にメモできていない部分もあるかと思いますが、ご了承の上お読みください。
まずは近年のグローバル市場について。
2011年の成長率が最も高いのは、中国9.2%、インド7.8%、インドネシア6.4%。
それに対して
日本は-0.5%。
特に、ハイテク製造産業の役割が日本では近年少なくなってきており、アウトソーシングで人件費などが安価な中国などで製造が進んでいる。
また、PC産業のグローバルシェアについて、1995年当時は中国1%、日本35%だったのが、2011年で中国46.5%、日本5%と完全に逆転されてしまっている。
日本の中で創造性がない訳ではない。
アメリカで申請された特許権のうち2割が日本。しかしシェアは確実に落ちている。
スタートアップ・カンパニーは、大手企業がやりたがらない画期的(破壊的)イノベーションに力を入れる。近年、アメリカのイノベーション体系において、
スタートアップ・カンパニーが大きい役割になってきた。特にシリコンバレーのイノベーション体系は、企業創出よりも、オープン・イノベーションが特徴。
シリコンバレーの企業も日本同様、グローバル競争の中で、高い生活水準を維持しなければいけないが、
外国人の比率が多いのが日本との違い。
シリコンバレー経済は、数年毎にグローバルリーダーになるIntel・SUN・Oracle・Appleなどのスタートアップ・カンパニーによって推進されている。
特に急成長しているベンチャー企業を「
ガゼル(Gazelle)」という。営業$250,000のベースから、4年間毎年20%以上の営業成長があり、例えばSquare Inc.(クレジットカード支払いを携帯電話で受けるシステム)など。
ガゼルは世界リーダー(いわゆるゴリラ・カンパニー)になる可能性がある。
営業開始から、最初5年間の平均年間営業成長率が数百%、10年間で100%など。世界シェアを目指さなければ、ここまでは伸びない。
Appleにおけるオープン・イノベーションについて。
傾向として、Appleはあまりオープンではないが、技術を獲得するために、ベンチャービジネス企業や抽象的財産(ライセンス料金等)を買収する伝統が長い。
オープン・イノベーションの実例として「
iPod」が挙げられ、もともののアイディアは外部のコンサルタント
Tony Fadell 氏によって紹介された。
アップルは、Fadell氏を契約者として採用し、iPodの商品仕様設定を担当して、アップル内で開発チームを組織した。
Appleは、ユーザ・インターフェイス、総合デザインを支配し、設計のそれぞれの課題はFadell氏のチームに任せ、技術設計はPoetal-Playerという別の会社に任せた。
そして6ヶ月以内という驚くべきスピードで商品をリリースした。
九州にて、どのように起業活動のメリットを得て、地域成長を目指すのか?
アジア・モデルからの教訓として、
経済基盤がゼロに近いところからのマインドセットに戻る。
具体的には、「無いものをあまり気にしないこと」
「機会を作らなければ。と考えること」
「最初から、グローバルに考え、新しい機会をグローバルから探す」
「ハングリーになること」など。
さらに、シリコン・バレーの大手企業からの教訓として、
オープン・イノベーションの必要性を認める。
具体的には、「社内アイディアより、スタートアップ・カンパニーのアイディアの方が役立つことがある」
「アイディアを別の会社にスピンアウトする場合もある」
「社内にて、起業家の良い面を職員の間に育てる」
「研究開発グループは、新しいインセンティブを作る」
「ある程度、職員に自分のアイディアを発想する自由時間を与える」など。
以上、メモから書き起こしたレポートになりますが、スタンフォード大学というシリコンバレー最前線の教授のお話は、シリコンバレー現地で働く方々のご意見と一致しており、私自身のこれからの仕事にも役立てていきたいと思います。
●日時:平成24年9月25日(火)
●場所:ホテルセントヒル長崎
●主催:在福岡アメリカ領事館・九州経済産業局・九州知的財産戦略協議会・九州国際化推進機構・[財]長崎県産業振興財団
●後援:長崎県・長崎市・NRC(=長崎“新生”産学官金連携コンソーシアム)・独立行政法人 中小企業基盤整備機構 九州本部
※平成24年9月25日現在の情報です。