第42回Apple BUは「iOS Appがなぜ人に優しいUIなのか」というタイトルで、イラスティックコンサルタンツ社で第一線で活躍する iOS Developerである平田 桂一 氏が、開発者の視点から見たiOSのUIの魅力やその秘密、アプリ開発とデザインなどについてご紹介頂きました。
今回の講演内容をレポートします。
まずは、Appleが現在開発者向けに提供しているガイドラインの紹介。
iOSアプリを開発するにあたって、Appleから様々なガイドラインが提供されている。
・アップルヒューマンインターフェイスガイドライン
Mac OSのアプリ制作の際のガイドライン
・iOSヒューマンインターフェイスガイドライン
iOSのアプリ制作の際のガイドライン
・iPadヒューマンインターフェイスガイドライン
一方、Androidを提供しているGoogleも以下のガイドラインを提供しているが、UIではなく使い方を主としたガイドラインであるため、Androidアプリ全般にUIの統一性はない。
・アイコンデザインガイドライン
・ウィジェットデザインガイドライン
・アクティビティとタスクデザインガイドライン
・メニューデザインガイドライン
2012年に「Android Design」というAndroid用のUIガイドラインが発表され、これで開発者がアプリのUIを一貫して制作できるようになった?
ガイドラインの主な項目は以下のとおり。
Get Started
Style
Patterns
Building Blocks
Downloads
さらに、Windows Phoneを提供しているMicrosoftも以下のようなガイドラインを提供している。
・Windowsユーザーエクスペリエンスガイドライン
・Metroスタイルアプリのユーザーエクスペリエンス
・Windows Phoneのユーザーエクスペリエンス
・デザインガイドライン
その他、UI等に関連する代表的なガイドラインとしては、以下のようなものが挙げられる。
・UX白書
・Webユーザビリティガイドライン(ヤコブ・ニールセン)
・スマートフォン・タブレットUIガイドライン(マルチデバイスLab)
次に、Appleが提供する「iOSヒューマンインターフェイスガイドライン」について。
ガイドライン自体は、約300ページのドキュメントとなっており、主な内容は以下のとおり。
・プラットフォームの特徴
ディスプレイはサイズに関係なく最も重要
デバイスの向きを変えられる
iPadを上下逆に持っていても違和感なく使えるアプリ
アプリケーションがクリックではなくジェスチャーに反応
直感的な操作としてのジェスチャー
画面上のヘルプは最小限
・ヒューマンインターフェイスの原則
外観の整合性
一貫性
直接操作
フィードバック
接続時にホイールが回るなど、ユーザに現在の動作を分かるように
メタファ
ユーザによる制御
・アプリケーション設計戦略
UX(ユーザエクスペリエンス)設計
ユースケース抽出
UI(ユーザインタフェース)設計
デバイス向けアプリケーションの設計
タスクに合わせたカスタマイズ
見た目は良いけど使いづらいUIは採用しない
・移植作業の実例
iOSデバイス間での移行
iPhone5 でのUI設計
画面が広がった部分に対して広告を載せたりするのはNG
・ユーザー体験ガイドライン
簡単で分かりやすい使い方にする
ユーザ中心の言葉使い
簡潔を心がける
一貫性を保ってUI要素を使用する
質感とリアルさ魅力的なグラフィック
ターゲットを指先サイズに
ジェスチャーを適切にサポートする
瞬時に起動しいつでも停止できる準備を
起動後何秒もかかるようなアプリは好まれない
・ユーザ体験ガイドライン(iPad)
対話機能を強化する
情報階層を制限する
Popoverの使用を検討する
Toolbarコンテンツを最上部へ
・iOSテクノロジーの使用に関するガイドライン
Passbook
ソーシャルメディア
iCloud
など
・iOS UI要素 使用方法のガイドライン
UIKitフレームワークの部品ごとに、
使用用途・外観および動作の意味・
ガイドラインが定められている。
・カスタムアイコンおよびカスタム画像の作成ガイドライン
効果的なアイコンや画像を作成するためのヒント
各種アイコンに関するガイドライン
次に、優れたUIを持つアプリの紹介
Flipboard: あなたのソーシャルニュースマガジン
カテゴリ: ニュース
価格: 無料
SNSやニュースサイトをまとめて見ることができるアプリ
tab お出かけ力向上アプリ-「行ってみたい」を集めよう
カテゴリ: ライフスタイル
価格: 無料
色々な記事を表示できる。
iPhone版だとMapから近くのアイテムが見れる
Reeder
カテゴリ: ニュース
価格: ¥250
RSSリーダ。スワイプ操作でお気に入り登録やWebサイトに移動など
Evernote
カテゴリ: 仕事効率化
価格: 無料
昔のUIから変更され、とても使いやすくなった
Pulse News for iPhone
カテゴリ: ニュース
価格: 無料
RSSリーダ。縦にも横にもスクロールできるのが非常に見やすい
Pocket (Formerly Read It Later)
カテゴリ: ニュース
価格: 無料
UIとして面白い
Google Maps
カテゴリ: ナビゲーション
価格: 無料
ジェスチャーが非常に考えられている
タップやダブルタップなど
文字の手帖01
カテゴリ: 辞書/辞典/その他
価格: 無料
平田氏制作のモリサワさんのアプリ
最後に、まとめとして「ヒューマンインターフェイスガイドラインに則ったUI設計をされているから、iOS Appは人にやさしいUIを全般的に担保できている」と締めくくられました。
以上、第42回Apple BUのレポートになります。
今回をもって、Apple BUは一旦マンスリーイベントとしては終了し、以降は数ヶ月に一度開催する通常イベントとなります。
よって毎月第3水曜にApple Storeにお越しになってもApple BUは開催しておりませんので、どうぞご了承ください。
次回Apple BUは、内容や日程が決定次第にこちらのブログや公式サイトで告知していきますので、どうぞお楽しみに!
これからもApple BUをどうぞよろしくお願いします(^^)
※価格や機能等は変更になることがありますので、ご注意ください。
※記事内容は平成25年1月16日現在の情報になります。