2011年12月7日(水)〜9日(金)に、福岡市の福岡国際会議場で開催された、AXIES 大学ICT推進協議会の「2011年度 年次大会」に参加し、様々なセミナーや展示が行われましたので、数回に分けてレポートを行います。
今回は、企画セッションをされた「大阪大学」岩居教授によるセミナーレポートです。
セミナーのタイトルは「iPhone/iPod touch/iPadを活用したアクティブラーニング(語学教育での実践事例紹介)」。
今回は、実際に大阪大学の学生と同じ体験をということで、ワークショップ用にApple Japan合同会社からiPad 2が40台貸し出され、予めワークショップに合わせてキッティングされており、参加者は一人一台iPad 2を触りながら進みました。
まず、大阪大学ではアクティブラーニングとしてドイツ語初級クラスにて使用。
iOSデバイスを使った授業は2008年から始まっており、現在iPadが11台、iPad 2が14台導入されているそうです。それ以前はビデオカメラを使って授業が行われており、アクティブラーニング自体は1982年あたりから始まったそうです。
現在、iPadを利用したアクティブラーニングでは「ビデオ撮影」「発音チェック」「コミック風シナリオ作成」などが行われており、今回のワークショップもそれぞれどのように授業が進んでいるのかを体験することができました。
まずは「ビデオ撮影」から。
iPadを使った撮影では、当初バッテリーの持ちなどが心配されたが、3時間撮影で使ってまだ50%残っていたので期待以上だったということです。
YouTubeにiPadから直接アップロードできるのもポイントで、学生がiPadに初めて触る場合でも問題なかったとのこと。
しかし、カメラズームができない、マイク位置が良くない(位置が分からず、iPadを持つ手でマイク部分を塞いでしまう)、何も指示しなかったら縦向きで撮影してしまう(縦長の動画になってしまう)、重く持ちにくい、滑る。などの声もあったそうです。
しかし、8割くらいの学生が良かったとの意見を挙げ、iMovieで簡単に撮影した動画を編集できる便利さも評価されているとのことです。
iMovie
カテゴリ: 写真/ビデオ
価格: ¥450
次に、「発音チェック」について。
Webサービスで「Quizlet」というものがあり、インターネット上でフラッシュカードを作成・共有するサービスで、WebサービスとiPadアプリが連携しているのが良く、自由に文章を入れたり、写真をFlickrから取り込んだりできるようです。
何より良いのが、合成音声でしゃべってくれるので、学生の自習用に、単語カードやシナリオなど作らせているそうです。
特に「Quizlet」に対応したiPadアプリ「Talking FlashCards Multilingual」は、TextToSpeechエンジンを搭載しており、「Quizlet」のデータを取り込んで、発音もiPadアプリ上で確認できるようになっており非常に便利だということです。
Talking Flashcards Multilingual
カテゴリ: 教育
価格: ¥700
また、iPadで発音を学ぶのに良いアプリとして、読み上げのスピードを上げたり下げたりして練習できる「Speak it!」や、現在読み上げているセンテンスがハイライトされていて使いやすいく「戻る」「次」ボタンがある「Voice Reader」や、iPhone 4Sの新機能「Siri」で使われているエンジンとして有名な「Dragon Dictation」が紹介されました。
Speak it! Text to Speech
カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥170
Voice Reader Text to Speech
カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥170
Dragon Dictation
カテゴリ: ビジネス
価格: 無料
大阪大学では、2011年の法学部・工学部1年生クラスのドイツ語の授業で、iPadを利用したアクティブラーニングが行われ、1週目にiPadで撮影を行いYouTubeにアップロードしておき、翌週の授業でYouTubeで字幕付けや発音の評価の時間にされているそうです。
授業を受けた学生の声として、メモできた範囲ですが、
「意外な単語を聞き取ってくれたり、簡単な単語を聞き取ってくれなかったりした」
「ネイティブの発音を聞いた後で、すぐに発音すると良いかも」
「連休中、授業前日にグループでSkypeを使って予習してきた」
「ビデオ撮影で覚えたセリフは、なかなか忘れられない」
と、おおむね好意的な結果となり、特にSkypeを利用した予習など指示してもいないことを積極的に行うケースに驚いたと話されていました。
次に「コミック風シナリオ作成」について。
2011年後期の授業では、ビデオ撮影用のシナリオを「Strip Designer」という画像ファイルを割り付けてフキダシを付けるアプリを用いて、コミック風の作品にしてみたそうです。
このアプリは様々な割り付けがプリセットで用意されており、完成した作品はJpeg/PNG/PDFで出力できるそうで、写真素材はネット上の著作権フリーのイラストや、自分達で撮影した写真などを使用されたそうです。
直感的な操作で色々とアレンジができるので、教授が教えていないような機能も生徒がどんどん見つけて自由にレイアウトしていくそうです。
Strip Designer
カテゴリ: 写真/ビデオ
価格: ¥250
どのアプリも生徒にインストラクションする必要がほとんどなく、直感的な操作だけで一定レベルの成果を出すことができるそうです。
重要なのは、受講者がただ与えられた教材を事務的に消化するのではなく、自ら学習素材を作り出し、様々なアプリを使いながら学習することで、受講者のモチベーションを保ち、かつ一人一人の能力を引き出していることを実感されているそうです。
最後に、今回のセッションで参加者全員に機材を提供するこのワークショップ形式は、セミナーを結構開催している立場から見ても、最高のやり方だと思っているのですが、残念ながらなかなか気軽に行うことができません。Appleさんから機材をお借りして同じようなワークショップができたのは、過去3回だけ。
今回も全員分のiPadを手配して、それぞれキッティングして搬送して、とのご苦労を考えると本当に大変だったのではと思います。貴重なセッションに参加させて頂き、本当にありがとうございました!
※価格や機能等は変更になることがありますので、ご注意ください。
※平成23年12月9日現在の情報です。
今回は、企画セッションをされた「大阪大学」岩居教授によるセミナーレポートです。
セミナーのタイトルは「iPhone/iPod touch/iPadを活用したアクティブラーニング(語学教育での実践事例紹介)」。
今回は、実際に大阪大学の学生と同じ体験をということで、ワークショップ用にApple Japan合同会社からiPad 2が40台貸し出され、予めワークショップに合わせてキッティングされており、参加者は一人一台iPad 2を触りながら進みました。
参加者に配布されたiPad 2 |
iOSデバイスを使った授業は2008年から始まっており、現在iPadが11台、iPad 2が14台導入されているそうです。それ以前はビデオカメラを使って授業が行われており、アクティブラーニング自体は1982年あたりから始まったそうです。
現在、iPadを利用したアクティブラーニングでは「ビデオ撮影」「発音チェック」「コミック風シナリオ作成」などが行われており、今回のワークショップもそれぞれどのように授業が進んでいるのかを体験することができました。
まずは「ビデオ撮影」から。
iPadを使った撮影では、当初バッテリーの持ちなどが心配されたが、3時間撮影で使ってまだ50%残っていたので期待以上だったということです。
YouTubeにiPadから直接アップロードできるのもポイントで、学生がiPadに初めて触る場合でも問題なかったとのこと。
iPadを利用した撮影のようす |
しかし、8割くらいの学生が良かったとの意見を挙げ、iMovieで簡単に撮影した動画を編集できる便利さも評価されているとのことです。
iMovie
カテゴリ: 写真/ビデオ
価格: ¥450
次に、「発音チェック」について。
Webサービスで「Quizlet」というものがあり、インターネット上でフラッシュカードを作成・共有するサービスで、WebサービスとiPadアプリが連携しているのが良く、自由に文章を入れたり、写真をFlickrから取り込んだりできるようです。
何より良いのが、合成音声でしゃべってくれるので、学生の自習用に、単語カードやシナリオなど作らせているそうです。
Talking FlashCards Multilingual の画面 |
Talking Flashcards Multilingual
カテゴリ: 教育
価格: ¥700
また、iPadで発音を学ぶのに良いアプリとして、読み上げのスピードを上げたり下げたりして練習できる「Speak it!」や、現在読み上げているセンテンスがハイライトされていて使いやすいく「戻る」「次」ボタンがある「Voice Reader」や、iPhone 4Sの新機能「Siri」で使われているエンジンとして有名な「Dragon Dictation」が紹介されました。
Speak it! Text to Speech
カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥170
Voice Reader Text to Speech
カテゴリ: 仕事効率化
価格: ¥170
Dragon Dictation
カテゴリ: ビジネス
価格: 無料
大阪大学では、2011年の法学部・工学部1年生クラスのドイツ語の授業で、iPadを利用したアクティブラーニングが行われ、1週目にiPadで撮影を行いYouTubeにアップロードしておき、翌週の授業でYouTubeで字幕付けや発音の評価の時間にされているそうです。
授業を受けた学生の声として、メモできた範囲ですが、
「意外な単語を聞き取ってくれたり、簡単な単語を聞き取ってくれなかったりした」
「ネイティブの発音を聞いた後で、すぐに発音すると良いかも」
「連休中、授業前日にグループでSkypeを使って予習してきた」
「ビデオ撮影で覚えたセリフは、なかなか忘れられない」
と、おおむね好意的な結果となり、特にSkypeを利用した予習など指示してもいないことを積極的に行うケースに驚いたと話されていました。
Quizletの画面 |
2011年後期の授業では、ビデオ撮影用のシナリオを「Strip Designer」という画像ファイルを割り付けてフキダシを付けるアプリを用いて、コミック風の作品にしてみたそうです。
このアプリは様々な割り付けがプリセットで用意されており、完成した作品はJpeg/PNG/PDFで出力できるそうで、写真素材はネット上の著作権フリーのイラストや、自分達で撮影した写真などを使用されたそうです。
直感的な操作で色々とアレンジができるので、教授が教えていないような機能も生徒がどんどん見つけて自由にレイアウトしていくそうです。
Strip Designer
カテゴリ: 写真/ビデオ
価格: ¥250
どのアプリも生徒にインストラクションする必要がほとんどなく、直感的な操作だけで一定レベルの成果を出すことができるそうです。
重要なのは、受講者がただ与えられた教材を事務的に消化するのではなく、自ら学習素材を作り出し、様々なアプリを使いながら学習することで、受講者のモチベーションを保ち、かつ一人一人の能力を引き出していることを実感されているそうです。
Strip Designで生徒が制作したシナリオ |
今回も全員分のiPadを手配して、それぞれキッティングして搬送して、とのご苦労を考えると本当に大変だったのではと思います。貴重なセッションに参加させて頂き、本当にありがとうございました!
※価格や機能等は変更になることがありますので、ご注意ください。
※平成23年12月9日現在の情報です。