2011年7月20日水曜日

セミナーレポート「海外の電子書籍の現状と日本市場の今後に関して」凸版印刷株式会社 経営企画本部 副本部長 桑田 良輔 氏

先日「第15回 国際電子出版EXPO」にて凸版印刷株式会社 経営企画本部 副本部長 桑田良輔 氏による講演が行われました。

30分程の講演でしたが、メモできた範囲でレポートを書いてみます。


海外の電子書籍市場は、遅くべきスピードで変わっており、CES 2011ではスマートフォンやタブレットの台頭が見えてきたものの、今のところiPadを超えるタブレットは出ていない印象。

あらゆるものがスマートフォンへ移行し、その全てがクラウドと結びつく。
Facebookの登場は、世界的に大変な話題であり、それはGoogleの登場以上のインパクトだった。

現在のFacebookの会員は6億人以上、そのコンテンツの全てがブラックボックス。
Googleでは検索できない。
KindleとiPadはどちらが勝つのか?

iPadは多機能端末で50兆円市場を狙い、Kindleは書籍雑誌の分野のみを狙った。
予想されている出荷台数は、iPadが1200万台以上、Kindleは800万台以上。
北米での普及率は、iPadが8%、Kindleは12%。


Kindleの強みは、恐ろしい数のタイトル数。3,200万タイトル以上。そしてとにかくコンテンツが安い上に、iOSにもサービスを対応しているところ。

今年の予想としては、Kindle端末のさらなる低価格化で、$99が出るか?
来年以降の予想としては、端末料金が無料のKindleや、液晶がカラーのKindleの登場もあり得るかも知れない。

世界的に見ると、iPadとKindleの他にも様々なタブレットデバイスが存在するが、それらは死の谷と呼ばれ、それらに注力するには充分注意が必要。


【北米マーケットの状況】
第1位:Barns&Noble
米国最大の書店。20~25%のシェア
しかし、Amazonは60%以上のシェア

第2位:SONY
コンテンツの販売力と価格で苦戦

第3位:Apple
iBooksも全米3位。たいして力を入れていなくても10%のシェア
ここ2年はiPhoneやiPadを超えるデバイスは出ない

2015年には、北米だけで2億台のTabletと200万台のスマートフォンが使われていると予想。


【中国マーケットの状況】
今のところ世界第2位の電子書籍大国で、2011年で100~150万台のデバイス売上げ
しかし一時のブームは過ぎて、プラットフォーム再構築の時期。
政府主導で電子教科書の仕様作りを行っている。
再度の飛躍が始まるのは2012くらいか?


【日本マーケットの状況】
使えるコンテンツはまだ2~3万タイトル
今のままだと日本の電子書籍は伸び悩む
リアル書籍は毎年-3.1%成長に対して、電子書籍は毎年+15.0%成長。


【電子書籍市場の勝者の条件】
1.リアル書店として確固たる地位があること
2.より多くの顧客
3.世界的なブランド
4.資本力
5.ITの技術力

現在、その全てを満たすのはAmazonのみ。


【日本の電子書籍市場の今後】
しばらくは今の状態が続くが、その内今の乱立状態が2~3のグループに集約される。

まずは自分の得意な分野への回帰を提言したい。