2011年7月12日火曜日

セミナーレポート「医療分野におけるタブレット端末の活用」神戸大学 大学院医学研究科 特命講師医学博士 杉本先生

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先日「第15回 国際電子出版EXPO」にて神戸大学 大学院医学研究科 特命講師医学博士である杉本 真樹先生による講演が行われました。

参加無料の講演と有料の講演があり、私は両方とも参加させて頂いたのですが、内容が濃くとても面白かったです。
メモできた範囲ではありますが、レポートを書いてみます。

医療現場iPad活用ガイド App
カテゴリ: ブック
価格: ¥2,100


iPhoneやiPadなどに代表されるスマートデバイスの登場により、医療分野での活用が進んでいます。

医療分野では現在、高度な医療機器・情報システムや医学知識や医療技術などによって「医の聖域」に囲まれて一種の鎖国を生じてしまっており、さらに診療科同士の壁や学閥や企業の壁、行政や司法、官や民に大きな隔壁があり、医療崩壊の大きな原因になっているそうです。

それに対して杉本先生の所属されるTeam医療3.0では「医領解放構想」として、医の聖域を解放されるべく、様々な活動をしていらっしゃいます。

その一つにiPhoneやiPadなどを活用したソリューションがあり、モバイルの本質である「鮮度のある情報をリアルタイムに入手・入力・共有」できる特徴を活かし、手術やドクターヘリの中でも活用が進んでいるようです。



iPhoneやiPadなどのiOSデバイスは、Androidほどの自由度はないとは言うものの、アプリは全てAppleの厳正な審査をパスしたものなので、セキュリティなど運用面でも安心して使用でき、医療用アプリは4,000を超えていて実用的なアプリも多くリリースされているそうです。

また、iPhoneやiPad自体のセキュリティ面も強力で、デバイス管理、ハードウェアの暗号化、セキュアなネットワーク通信など様々な面で確立されています。

クラウド化によって、端末自体に重要なデータを持たないのはもちろん、予期せぬ紛失や盗難の際にも本体のパスコードロック機能や、あらかじめ端末を登録しておくとリモートで端末を初期化することも可能です。

iPadを外科手術に活用
画像出展:デジタルヘルスオンライン
端末にキーボードのような凹凸が少ないことから、PCよりも院内感染リスクが低下できることに加え、手術に持ち込む際には専用の滅菌・抗菌プラスチックバッグに封入し、その上から操作できるようにすることで、術野の近くに患者さんのMRI画像を表示させたiPadを置き、3D立体画像として自由に回転させ、見えにくい体側面や臓器の裏側の様子などをリアルタイムで確認しながら手術ができるそうです。

ここで使用されているのがMac OS用のオープンソースである「Osirix(オザイリクス)」。
iPhone/iPadアプリのビューアは有料ですが、Mac OS用は無料で利用できます。

OsiriX App App
カテゴリ: 医学
価格: 無料


OsiriX HD App
カテゴリ: メディカル
価格: ¥3,500


また、この患者さんのMRI画像表示は、手術前の患者さんやそのご家族への手術説明の段階でも活用でき、実際に自分の体中の3D立体画像を、自分の指で動かして見ることができるので、従来の静止画と比べて非常に説明がしやすく、また、患者さんの理解も早いということが特徴として挙げられます。

このiPadによる3D立体画像は、看護師さんへの説明や医学生への研修でも多いに役立ち、教科書に載っている平面の写真やイラストでは理解しにくい生体の立体構造などの部分も、視覚的に分かりやすいようです。

画像出展:99さがネット

佐賀県では既に救急医療にiPadが導入されており、佐賀県内全ての救急車にiPadが搭載され、また、救急車自体にインターネット環境を整備することで、救急医療現場の情報をリアルタイムに他の救急隊や医療機関で情報が共有されています。

救急隊員は、患者さんを搬送する際にiPadからシステムへインターネット接続し、症状や診療科目から医療機関を検索。リアルタイムで更新される患者受け入れ状況を確認し、電話で搬送の可否を確認するそうです。
また、搬送後は医療機関の状況を端末に入力することで、別の隊員とも情報が共有できるようです。
生体質感造形(Bio-texture Modeling)
画像出展:Twitpic@OsirixJapan
       最近では「生体質感造形(Bio-texture Modeling)」という、CT画像から3Dプリンタで立体模型を作成する技術を活用することで、iPadの中の3D立体画像を手に取って確認できるような技術も開発され、ロボットによる遠隔手術のシミュレーションやナビゲーションの現場でも活用されているそうです。

こうした技術は新しい医学を創出し、計算解剖モデルを利用した診断治療・教育・遠隔支援システムが開発され、ただの写真データやイラストではなく、臓器の立体模型が教材になる可能性があります。

生体質感造形模型での遠隔手術シミュレーション
画像出展:アド・コムメディア(株)
以上、書けなかった部分もたくさんありますが、医療技術に全くの素人である私もすごく楽しみながら聴くことができました。

講演後に名刺交換をさせて頂いた時、今月21〜23日に福岡で開催される「第11回アジアメディカルショー」に杉本先生もご出展されるとのことですので、ご興味がおありの方はぜひ参加されてみてください。

また、それに伴いApple Store 福岡天神で下記セミナーが開催されますので、こちらもぜひどうぞ。


2011年7月22日(金)
7:00 pm - 8:00 pm

新世代DICOMビューアApp「OsiriX HD」のご紹介

医療用画像ファイルの表示と管理が簡単に行えるiPhone/iPadアプリケーション「OsiriX HD」をご紹介するイベントです。iPad用の最新版OsiriX HD 2.0.2の機能や操作手順を、iPad 2によるデモを交えてご説明します。また、Mac版OsiriXの概要説明や、iTunes経由での医療用画像ファイル転送のデモも行います。講師は神戸大学大学院 医学研究科 杉本真樹氏と、ニュートン・グラフィックス社代表の菅野忠博氏です。



※記事の内容は2011年7月12日現在の情報です。