2011年7月27日水曜日

セミナーレポート「新世代DICOMビューアApp:OsiriX HDのご紹介」ニュートン・グラフィックス社代表 菅野氏/神戸大学 杉本先生

2011年7月22日(金)にApple Store, Fukuoka Tenjinにて、ニュートン・グラフィックス社代表の菅野 忠博氏と、神戸大学 大学院医学研究科 特命講師医学博士である杉本 真樹先生による講演が行われました。

タイトルは【新世代DICOMビューアApp「OsiriX HD」のご紹介】
医療用画像ファイルの表示と管理が簡単に行えるiPhone/iPadアプリケーション「OsiriX HD」をご紹介するイベントです。iPad用の最新版OsiriX HD 2.0.2の機能や操作手順を、iPad 2によるデモを交えてご説明します。また、Mac版OsiriXの概要説明や、iTunes経由での医療用画像ファイル転送のデモも行います。講師は神戸大学大学院 医学研究科 杉本真樹氏と、ニュートン・グラフィックス社代表の菅野忠博氏です。
最新のOS X LionでのOsiriXの検証や、新型MacBookAirやiPad 2でのデモも含め、iPad用の最新版OsiriX HD 2.0.2の機能や操作手順を、デモを交えてご説明されました。
私は医療従事者ではないので、OsiriXのデモの部分はほぼ見ているだけでしたが、ポイントとなりそうな部分をレポートします。

まずは、ニュートン・グラフィックス社代表の菅野 忠博氏。

OsiriX App App
カテゴリ: 医学
価格: 無料


OsiriX(オザイリクス)は、以前はOsiris(オシリス)という名称だった。
1991年からスイスジュネーブ大学の放射線科医師らによって開発されるオープンソースソフトウェア。

OsiriXは、DICOMデータを見るためのビューアソフト。

Mac版のOsiriXは32bit版と64bit版が存在し、32bit版は理論上メモリ4GBまで利用可能。
64bit版は32bit版の1.8倍高速。
64bit版は有料(オンラインストアで¥25,000 JPY)

OsiriX HD App
カテゴリ: メディカル
価格: ¥2,600

OsiriX HDは、iPhone/iPad向けDICOMクライアントソフトウェア。
起動後の画面は検査リスト。クエリ画面(検索条件入力)。リトリーブ(ダウンロードデータ)の確認。

主な機能は、ビューワ確認。ウィンドウレベルの変更。マルチタッチで拡大縮小。移動。距離計測。ROIの計測(面積の計測)。検査リストからの削除など。
OsiriX HDの画面
画像出展:iTunes

DICOMサーバもMac OS X Serverで。モダリティ装置とDICOMサーバ。
MySQL(データベースエンジン)とdcm4chee(DICOMサーバプログラム)を使用する。

今後のOsiriXへのアプローチとして、病院からの要望に応じて適宜OsiriXを機能追加や改造を行っている。
プラグインという形にて、新しい機能を追加できる。

正確にメモすることができなかったので、以下OsiriX HDの公式サイトより引用します。
OsiriX HD is a companion application to OsiriX for MacOS which is an interactive visualization program designed for display and analysis of medical images. The iOS version allows downloading and manipulating series of images directly on your iOS device. OsiriX HD is capable of displaying images from most common imaging modalities (ultrasound, CT scanner, MRI, PET etc…) in their native standard DICOM format used by the medical/scientific industry. OsiriX HD is a fully DICOM-compliant listener that can receive images from any DICOM imaging device through WiFi/3G network. It supports these DICOM protocols: C-STORE SCP, C-MOVE SCU, C-FIND SCU, C-GET SCU, WADO.

The iOS application is designed to work seamlessly with the MacOS version of the software (http://www.osirix-viewer.com), but it doesn't require it. It's compatible with any DICOM-compatible software, including PACS servers, that support DICOM protocols. Transferring images from a DICOM compatible software to OsiriX HD is done through standard DICOM protocols. It also supports communications through the iOS built-in VPN for secure and encrypted connections.

OsiriX HD provides fast interactive image manipulation tools such as zoom, pan, cine and contrast adjustment of images through the multipoint touch screen interface. It can handle remote query and retrieve of DICOM images directly from a list displayed on the device itself.

The convenience of being able to access DICOM images remotely added to the fact that images can be previewed on the iPhone/iPad screen in a very effective and convenient way offers a new perspective for mobile teleradiology. The performance of image manipulation on the device itself instead of traditional web-based interface adds a degree of freedom and robustness in case of network interruptions or poor wireless signal.

次に、神戸大学 大学院医学研究科 特命講師医学博士の杉本 真樹先生の講演内容です。

OsiriXが最新のOS X Lionおよび、新型MacBook AirそしてiPad 2でも動作することを確認。

iPad上のOsiriX HDでは、残念ながら3D解析はできないが、Mac上で3D化したデータをDICOM書き出しすることによって、iPad上で3D表現が可能になる。
OsiriX HD for iPad
画像出展:Planeta iOS

色々な会社のPACSビューアがiPadに対応しているが、現時点でDICOM書き出しに対応しているのはOsiriXのみ。

日本のiPad発売以前にUSでiPadを購入し、世界で初めて手術にiPadを利用した。

iPadを入れる滅菌パックは、来月より発売開始予定。

【OsiriXの読み方】
開発チーム本家ではオザイリクスが標準だが、ジュネーブではオジリクスと呼んでいる。また、USのAppleではオサイリクスと呼ばれていた。
読み方がバラバラだったので、国際的な読み方が「オザイリクス」に統一された。

OsiriXのVideo Podcast が配信されている。
画像出展:OsiriX Foundation

2008年に設立されたOsiriX Foudation
32bit版をオープンソースとして無償提供し、64bit版OsiriXの販売を行っている。
OsiriXのPlugIn Awardなどの開催も行われている。

OsiriX Navigator App
カテゴリ: メディカル
価格: ¥450


Osirixのマニュアルであり入門書。
それがiPhoneアプリ「Osirix Navigator」。

【医学生教育にiPad活用】
最初に病名を教えない状態でiPadを渡し、自分達で診断させるインタラクティブな教育。
カンファレンス室に集まる必要がなくなる。

【救急車など救命救急の現場にiPad搭載】
佐賀県では県内全ての救急車にiPadが搭載され、救急医療にiPadが導入されている。

【OsiriX Japan User Meeting】
2011年10月15日(土)に第3回を開催予定@Apple Japan
生体質感造形 Bio-Texture Modeling(TM)
画像出展:神戸大学大学院医学研究科 杉本真樹(twitpic @OsiriXJapan
【生体質感造形】

生体の医用画像情報(おもにDICOM raw data)からsurfaceレンダリングを行い、STLファイルへ書き出し、生体の質感(硬さ、柔らかさ、表面構造、内部構造、透過度など)をブーリアン演算によって複数素材の混合にて造形し、質感を造形する技術。


臓器が3Dプリンタで造形でき、先日、世界で初めで妊婦と胎児のMRIデータから複数素材3Dプリンタ一CONNEXで、生体質感造形Bio-Texture Modeling(TM)技術により、透明の母体を透見して胎児につながる臍帯(臍の緒)を鮮明に描出した。受け継がれる生命の尊さを表現した。
協力:神戸大学, (株)ファソテック, 八十島プロシード(株) NextMED開発室

※記事の内容は、2011年7月22日現在の情報です。