2020年9月9日水曜日

【イベント開催レポート】長崎アップルユーザグループ定例会(Aug, 2020)テーマは「新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAについて!」

長崎アップルユーザグループの定例会レポートです。

2020年8月の定例会は、「新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAについて!」ということで、しくさんにCOCOAアプリの特徴や役割について解説して頂きました。

まず、COCOAとは「COVID-19 Contact-Confirming Application」の略で、新型コロナウイルス接触確認アプリです。2020年6月19日にリリースされ、当初1ヶ月間は試行版として提供され、iOS 版と Android 版があります。

このアプリの中では具体的に「接触した可能性がある人」とは、以下のように定義されています。
 ①過去14日間の中で
 ②1メートル以内の距離に
 ③15分以上一緒に居た人

COCOA アプリをインストールしていると、国に位置情報や行動の履歴などを管理される!と一部で誤解されているようですが、そんな事はないようです。
技術的にできないようになっていて、まず使用する通信規格は Bluetooth のみで GPS などは利用しません。個人のスマホ内のみ、接触履歴データが記録される仕組みで、記録されるのは接触日(時刻は記録せず)と、固有 ID のみ。利用者は自分や接触者の固有 ID や接触履歴を見ることができず、更に14日経過すると、スマホ内から履歴データ削除されるようです。

次に、感染者の通知方法について。
以下の流れで通知が表示されるようになっているそうです。
 ①感染者に対して、保健所が処理番号を発行
 ②感染者がアプリに処理番号を入力
 ③感染者スマホのアプリが国のサーバへ固有IDを送信
 ④国のサーバがアプリ利用者へ感染者のIDを送信
 ⑤スマホ内の接触履歴内に感染者のIDがあれば通知を表示する

接触した可能性がある場合の症状等で確認されるのは、自分自身に症状があるかどうかなどで、受診を案内される場合は「自分自身に症状がある」または「身近な人に感染者や感染を疑う人がいる」場合のようです。どちらにも該当しなければ、14日間は体調の変化に気をつけて、体調に変化があった場合に入力する形とのことでした。

さて、この COCOA アプリですがインストールしてから実際、何をすれば良いのでしょうか?
これはとてもシンプルで、スマホにインストールして、起動して、Bluetooth の利用についてなどの簡単な設定を行うだけのようです。

自分では、陽性者との接触の有無をいつでも調べられるほか、陽性者との接触が確認されたら自動で通知が来るように設計されています。ここで「通知がきたからと言っても感染した訳ではない」ところがポイントになるようです。もし通知が来たとしても、即感染したと決まった訳ではありません。あくまで陽性者との接触があったという事実が知らされるだけなので、落ち着いて質問に答えて、アドバイスに従ってくださいとの事でした。

COCOA は、感染者が少ない時期にこそ真価を発揮するアプリのようです。
自分の周囲に感染者が多いと、自分が新型コロナに感染した可能性を選択肢に入れやすいですが、自分の周囲に感染者が少ないと、ただの風邪と判断してしまう事が多く、陽性者との接触の事実を知ることができれば、感染の可能性の有無が判断できるという訳です。

日本以外の各国にも同じようなアプリあり、例えば中国では電話番号などのプライバシー情報も中央サーバに貯めるのが特徴です。各国の設計も様々で、GPS は誤差があるので Bluetooth 型が多かったり、日本の COCOA アプリのように個々人のスマホのアプリ内にデータを蓄積する分散型も結構あるようです。

日本での COCOA インストールに関しては2020年7月の段階で5%。8月18日現在では1,364万件なので人口の約10%がインストールしている事になります。オックスフォード大学の研究では、国民の6割がインストールすればロックダウン同等の感染抑止効果につながるとされていますが、なかなか遠い道のりなのかも知れません。
なお、現在の陽性登録件数は287件で約0.002%。かなり少ないと言わざるを得ないですね。。

また、先日 Apple と Google が技術提携した事が話題になりましたが、どういう風にデータを共有するのでしょうか?具体的には以下のような流れのようです。
 ①スマホ上で毎日ランダムで鍵型が生成
 ②鍵型を元に20~30分ごとに鍵が生成
 ③一定距離に一定時間いると、自分の鍵が相手の鍵に保存される
 ④感染した人が自己申告すると、そのユーザの鍵型がサーバに送られる
 ⑤アプリは定期的に全国の感染者の鍵型をサーバから DL
 ⑥スマホ内に保存された鍵と、サーバから DL された鍵型を照合して判断

次に、COCOA を巡る諸問題として「アプリ自体のトラブル」や「アプリの意義や運用の広報不足」「システム運用のトラブルや問題」、更に「通知が来ても優先的にPCR検査が受けられる訳ではない。」や「保健所担当者への周知不足により、保健所で陽性者の通知番号が発行されないまたは遅れる。」などが挙げられました。
これに対して、「アプリの出来は良いのに、周りの展開に関して情報不足で勿体ない。」「恐怖感を超える有用性を示せていない。」などの意見も挙がっているようです。

さて、それでは COCOA アプリで接触を確認する意義とは、どのようなものでしょうか?
疑わしい症状がある場合の診断の際に、陽性者への接触の有無が重要になります。COCOA アプリがない状態では、「接触の有無」はヒアリングによる調査がメインとなり、本人の記憶と自己申告という曖昧な手段に頼らざるを得ません。もちろん、ヒアリングする人員と時間の確保の問題もあります。そういった事を補助できるアプリとして COCOA アプリは意義があります。
先程触れられたように、COCOA アプリは「濃厚接触」の確認用ではなく、もちろん「感染」確認用でもありません。

COCOA アプリの効果として、福井県の第一波32件について、接触確認アプリがあれば感染の2~3割防げたという検証結果があります。陽性者への接触の可能性がある人に対して、濃厚接触を疑う要素の有無により、感染拡大の防止のための行動を助言する事で、感染拡大を防ぐことが可能になります。

また、長崎の事例として「思案橋横丁会」を挙げられました。
QR コード読み込み、LINE で「思案橋横丁会」と友達になった後、名前・連絡先・日時・人数・店舗名をトーク投稿してもらう仕組みのようです。

最後に、COCOA は使用すべきか?との問いに対して、「ぜひとも使用して欲しい。使った上で、問題点をどんどん出して欲しい。使わない理由はもうお腹いっぱい。使ったからこそ分かる問題点を挙げるフェーズである。」と締められました。

いつか必ずやってくる、新型コロナウイルスではない、次の「重大な感染症」のパンデミック発生時のために、今私達にできることを一つひとつ試してみてはいかがでしょうか。


以上、8月の定例会の報告でした。

次回9月の定例会は、9月19日(土)にオンラインでのみ開催します。
オンライン:Zoom ミーティング(メーリングリストにてURLお知らせ)

座談会の内容は「9月の Apple Event について!」ということで、日本時間9月16日(水)午前2時より開催される Apple Event で発表される製品やサービスについて見ていこうと思います。

なお、Zoom の URL は、不特定多数の方が参加できないようにメーリングリストにて配信させて頂きますので、ご了承ください。

※掲載商品の価格や機能等は変更になることがありますので、ご注意ください。
※2020年9月9日現在の情報です。